シンメトリー 左右対称
- KOJI Nishimura

- 3月13日
- 読了時間: 3分
更新日:6月21日
私たちの周りには、左右対称”シンメトリー”の形が数多く存在します。
建築物の正面、花のかたち、人間の顔や体。左右が均等に配置された美しさは、古くから多くの文化で尊ばれてきました。しかし一方で、日本文化においては、あえて左右非対称”アシンメトリー”の美が好まれる傾向があります。

西洋と日本における「シンメトリー」と「アシンメトリー」の美意識の違い、その背景、そして自然の中に見る対称と非対称について考察してみたいと思います。
シンメトリーとは何か
左右対称の基本概念
シンメトリー(symmetry)とは、左右、上下、あるいは中心を挟んで鏡のように同じ形や配置になることを指します。均整の取れた形は、見る者に安心感や秩序感を与え、古代ギリシャやルネサンス期の西洋建築、絵画、彫刻において理想的な美の象徴とされてきました。
ピラミッドやパルテノン神殿、ルネサンス期の人体比例図。どれも完璧なシンメトリーを追求したものです。
シンメトリーが持つ心理的効果
心理学の研究でも、左右対称の形は、人間に「安定」「調和」「美しさ」を強く印象づけることがわかっています。対称性は、脳にとって「わかりやすく」、負担が少ない認識のしかたでもあるのです。
日本文化に見るアシンメトリー
あえて崩す美意識
一方、日本文化では完全な左右対称ではなく、わずかなズレや不均衡に美を見出す感性が育まれてきました。

枯山水の庭、茶室の設計、書や絵画。どれも「左右均等」には作られず、むしろ非対称の中に動きや奥行きを持たせる工夫がなされています。この感性は「不完全の美」「侘び寂び」の思想とも深く結びついています。
なぜ日本はアシンメトリーを尊んだのか
日本は自然と密接に生きる文化を育んできました。自然界は完璧な対称ではありません。山の形も、川の流れも、木の枝ぶりも、すべてが揺らぎと個性を持っています。この自然への畏敬と同調から、日本人は「完璧な均整」よりも、「不完全さ」「予測できない変化」の中に美しさを見出すようになったと考えられます。
自然に見る対称と非対称
生物における対称性
自然界にも、シンメトリーは存在します。蝶の羽、魚の体、人間の顔、生き物の多くは左右対称に近い形を持っています。これは、運動や生存において効率的であるため、進化の過程で選ばれてきたと考えられています。
完全な対称はほとんど存在しない
しかし、自然のシンメトリーは「完全」ではありません。蝶の羽にもわずかなズレがあり、葉のかたちも微妙に違います。

自然界は、対称を基本としながらも、常にわずかな揺らぎ、不完全さを内包しています。この「ゆらぎ」こそが、自然の生命力や魅力を支えているといえるのではないでしょうか。
対称と非対称を超えて
左右対称は安心感を、非対称は生命感を与える。どちらが優れているわけではなく、それぞれが違った形で世界の豊かさを支えています。西洋のシンメトリーも、日本のアシンメトリーも、根底にあるのは「美しさを求める心」に変わりありません。
自然のかたちに学びながら、私たちもまた完璧さを求めすぎず、少しの揺らぎや違いを受け容れながら生きていきたいと思います。



