Right time , Right place その場所にいるということ
- KOJI Nishimura
- 2月16日
- 読了時間: 4分
更新日:5 日前
旅先で、美しい夕陽に出会ったとき。たまたま立ち寄った場所で、思いがけず満開の花に出会ったとき。そんな瞬間に、私はいつも思います「ここにいてよかった」と。
「Right time , Right place」“その時間に、その場所にいる”ということの意味と、それがもたらしてくれる静かな奇跡について考えてみたいと思います。

美しい瞬間は偶然ではない
その時間、その場に“いる”ということ
奇跡のように美しい景色に出会うには、単に運がよかっただけではありません。そこに至るまでに、どれだけ時間をかけたか、その場にどれだけ留まったか。その“時間の余裕”が、出合いを可能にしてくれています。
たとえば夕陽も、海に沈む一瞬を見届けるためには、あらかじめ時間を調べ、場所を選び、空を見上げながら待たなければなりません。日常の忙しさに流されるだけでは、そんな風景とは出会えないのです。
時間を惜しまず、心を惜しまず
美しい瞬間は、待ってくれません。たとえば夕陽は、ほんの数分で沈み、茜色の空はすぐに藍色へと変わってしまう。その一瞬を味わうためには、ただ「見る」だけでなく、そこに向かう時間、待つ時間、感じる時間を惜しまずに差し出す覚悟が必要なのかもしれません。
「その時間、その場所にいること」それは、目に見えない努力と、静かな覚悟の積み重ねなのだと、私は感じています。
優先順位を考えるということ
忙しさのなかで、何を選ぶか
現代は、やるべきこと、やりたいことが溢れています。仕事、家族、趣味、学び、どれも大切です。でも、その中で「本当に自分にとって大切なもの」を見極めることが、かつてないほど難しくなっているようにも感じます。

だからこそ、意識してしっかりと「優先順位」を考えなければ、多くのことが流されてしまい中途半端に終わってしまうのかもしれません。
美しい景色に出会いたいなら、そのための価値を理解して時間を優先して確保する。心震える瞬間を味わいたいなら、それに向き合う心の余白を作る。そんな“選択”を積み重ねることが必要なのだと思います。
立ち止まることへの勇気
目の前の忙しさに押されて、つい後回しにしてしまうもの。それが、じつは自分にとって一番大切なものだった、そんな経験はありませんか?
だからこそ、ときには「立ち止まる勇気」を持つことが大切です。あえてスケジュールを空ける。あえて遠回りする。あえて何もしない時間を持つ。それは一見、無駄に思えるかもしれません。でもその選択が、思いがけない「Right time , Right place」を引き寄せてくれることもあるのです。
待つということ、信じるということ
「幸福とは、正しい時に正しい場所にいて、それに気づけることである。」
W・サマセット・モーム(W. Somerset Maugham/イギリス/作家/1874–1965)
モームのこの言葉は、「気づく」ことの重要性を教えてくれます。私たちは、ただ偶然に居合わせるだけでは足りません。その瞬間の意味、美しさ、尊さに“気づく感性”を育てていなければ、せっかくの出会いを見過ごしてしまうのです。

「Right time , Right place」とは、時間と場所だけでなく、心の準備を整えておくことでもあるのだと感じています。
静かな奇跡に立ち会うために
人生のなかで、本当に心震える瞬間は、そう多くありません。だからこそ、その瞬間に立ち会うためには、日常の中で小さな選択を重ね、自分にとって大切なものを優先し、時間と心の余裕を持ち続けることが必要なのだと思います。
「その時間に、その場所にいること」。
たったそれだけのことが、どれほど大きな意味を持つか。それを知っている人だけが、人生という旅のなかで、静かな奇跡に出会えるのではないでしょうか。
今日もまた、心を整えて、空を見上げる時間を持ちたいと思います。
参考文献・参考資料
W・サマセット・モーム著『月と六ペンス』新潮社https://www.shinchosha.co.jp/book/602231/
時間管理とライフバランスに関する研究(東京大学 行動科学研究室)https://www.u-tokyo.ac.jp/research/time_balance
自然体験と感性の育成に関する調査報告(日本自然学会)https://www.shizen-gakkai.jp/research/nature_sensitivity
観察と感受性の心理学(京都大学 心理学研究科)https://www.kyoto-u.ac.jp/research/observation_emotion